2017/06/24
アナトミートレインの構造を捉える!ディープフロントライン(DFL)
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本日はディープフロントライン(以下、DFL)についてご紹介しようと思います。
DFLは身体の深い部分に位置する、いわゆるインナーマッスルであり、最も重要なラインと言っても過言でありません。
DFLの特徴
DFLは前部・中部・後部の3つのラインに分けられるため、まず全体としてのDFLの特徴をご紹介します。
①.身体筋膜構造の「中心(コア)」を形成
②.全てのラインの中で筋膜の密度が最も高い
③.線ではなく3次元での構成
④.呼吸のリズムを歩行のリズムにつなげている
⑤.体幹では自立神経節と密接に関わっており、自律神経のバランスに関与
上記のような特徴が挙げられます。
各特徴については3つラインについての解説の中でお話します。
運動機能としては、DFLが起因となる運動はなく、他の浅層ラインと骨格が効率的に機能できるよう中心機能を安定化させています。
姿勢機能としては、
・内側縦アーチを引き上げる
・下肢の各区分を安定させる
・腰椎を前方から支える
・胸部を安定させ、呼吸のリズムを整える
・脆弱な頸部とその上に位置する頭部を支える
上記のようなものが挙げられます。
DFLの連結
前述した通り、DFLは複雑に分かれており、大きく分けて前部・中部・後部ラインの3つに分けられます。
ボリュームが多くなるので、今回は後部ラインのみご紹介させていただきます。
前部・中部ラインは次回以降ご紹介します。
後部
後脛骨筋/長趾屈筋
↓
膝窩筋/膝関節包
↓
後筋間中隔/大内転筋/小内転筋 前筋間中隔/長内転筋/短内転筋
↓ ↓
骨盤隔膜筋膜/肛門挙筋/内閉鎖筋筋膜 大腰筋/腸骨筋/恥骨筋/腰方形筋
↓ ↓
前仙骨筋膜/前縦靱帯 前仙骨筋膜/前縦靱帯
↓ ↓
頸長筋/頭長筋 頸長筋/頭長筋
大腿の筋間中隔を境に、さらに前と後ろに分かれます。
DFLの特徴
①.A-Pバランス
②.DFLと下肢の安定性
後部のラインにおける特徴は上記の2つになります。
一つずつ詳しく見ていきましょう。
A-Pバランス
SBLとSFLでも出てきましたが、DFLにおいてもA-Pバランスが存在します。
SBLとSFLによって前後のバランスが取られているというお話でしたが、DFLは両者の中心を貫くことで、前後バランスの不良を整えるための重要な役割を担っています。
頸部においては、SBLにおける脊柱起立筋、後頭下筋群やSFLにおける胸鎖乳突筋はどちらも上位頚椎の過伸展に関与しており、その拮抗筋はDFLの頸長筋、頭長筋のみであるため、頸部疾患における頸部アライメントの破綻では、DFLの評価が重要となります。
DFLと下肢の安定性
DFLは上記のSBL、SFLだけでなく、LLとの関係も深いです。
DFLが短縮、LLが伸張、過緊張→足部回外・内返し、膝内反
DFLが伸張、過緊張、LLが短縮→足部回内・外返し、膝外反
というように、DFLとLLは下肢アライメントにおいて相互に拮抗しあっているのです。
膝関節のO脚やX脚を評価する上でも大事な視点です。
DFLは複雑な連結をしているため、いくつか重要な連結をピックアップして解説していきます。
下腿の連結
後脛骨筋/長趾屈筋→膝窩筋から筋間中隔を境に、大内転筋を通って後ろにいくライン、長内転筋を通って前にいくラインに分けられます。
筋間中隔は筋膜(結合組織)によって隔てられており、癒着しやすいポイントでもあり、複数の筋の分離した動きが困難になったり、筋出力、可動域制限の低下にも繋がる重要な部分です。
しっかり触診して確認しておきましょう。
骨盤底への連結
骨盤底は大内転筋→内閉鎖筋→骨盤底筋群へと連結しています。
坐骨結節を介して内閉鎖筋と繋がり、骨盤底筋群(肛門挙筋)へと連結しています。
骨盤底筋群というと、マイナーな筋であるため、どこにあるの?どういう作用があるの?など疑問をもつ方もいるかと思います。
高齢になると、失禁や尿漏れをする方も少なからずいますし、若い方でも生理痛がひどかったりする方は骨盤底筋群が機能不全を起こしている可能性があります。
デリケートな部分ですし、触診が難しい部分ではありますが、重要な部分でもあるので後々また記事にして書きたいと思います。
体幹への連結
下肢から体幹への連結であるこの部位はDFLの中でも最重要の連結ですので、ここは絶対に押さえておきましょう。
長内転筋/短内転筋、恥骨筋→大腰筋/腸骨筋
腸骨筋→腰方形筋
この部分が重要である理由として、身体の中心に位置する「大腰筋」が存在しているからです。
大腰筋は腰椎から股関節にまたがって付着しており、体幹・股関節の安定性、筋出力の発揮、円滑な可動性のためには絶対に必要であります。
また、人が動く上で体幹・股関節がしっかりとした安定性をもっているからこそ、末梢の上肢、下肢の動きが伴ってきますので、ここの機能なしに末梢の能力の開発はできません。
ですので、肩関節障害、腰痛、膝関節症、足底腱膜炎など身体の色んな部位の障害に関わってきます。
とても重要な部分ですので、深い部分に位置しており触診には技術がいりますが、解剖の教科書を見つつ、各筋をしっかり触り分けられるようにしましょう。
おわりに
実際にDFLリリースする方法は残りの前部・中部ラインをご紹介してからお伝えします。
複雑で難解なラインではありますが、ここを理解することは人を診る上では欠かせないと個人的に思っておりますので、ぜひ何回も繰り返して読んでいただいて実際に触診して確かめていってください。
その作業が大切になりますので。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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