足関節骨折の治癒を妨げないために必要なこと

 

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松井 洸
ロック好きな理学療法士。北陸でリハビリ業界を盛り上げようと奮闘中。セラピスト、一般の方へ向けてカラダの知識を発信中。
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火曜日ライターの松井です!

職場のマッチョな先輩に腹筋を割るには何をしたらいいですか?と聞くと、腹筋ローラーが一番良いと言われたので、すぐに購入して毎日腹筋ローラーをしています。笑

初めてやったのですが、思った以上に全身を使うので良いトレーニングになるなと感じました!
立ったままやると全然できないので、とりあえずは膝をついた状態でやり込みます。

夏に向けて皆さんも腹筋ローラー試して見てください!

さて、今回は足関節骨折と理学療法戦略について、骨折後足部にはどんな反応が起こるのか、それを踏まえてどのように進めていくべきなのかを解説します。

 

足関節骨折の分類

足関節骨折の分類として、幅広く知られているものが「Lauge-Hansen 分類」です。

<Lauge-Hansen 分類の4つのタイプ>
・SERタイプ
・SAタイプ
・PERタイプ
・PAタイプ

幅広く使われてはいますが、メリット、デメリットがあります。

メリットとしては、外力の方向、損傷の程度が判別でき、保存療法のための整復時に必須の評価です。
デメリットとしては、分類が難解で再現性に乏しいということです。

いずれにせよ、幅広く使われている分類なので、知っておくべき知識です。

 

SERタイプ(Supination external rotation)

このタイプは、足首を内側へ捻る、回外に回旋ストレスがプラスして起こることで受傷します。

回旋ストレスが加わりつつ受傷するため、骨折線が斜めに走ることが特徴です。

上記の4つのタイプの中では最も受傷率が高いタイプです。

回外が受傷起点なため、外果→後果→内果の順に骨折が起こります。

回外による足関節外側へ強くストレスが加わるため、足関節外側の靭帯損傷も疑うべきです。
医師に聞ける環境であれば、靭帯損傷の有無、どこの靭帯が損傷しているかを確認しておきましょう。
損傷する可能性のあるものとしては、脛腓靭帯、距腓靭帯などが挙げられます。

靭帯損傷を伴う場合は特に、回外方向への不安定性が予測されるため、回内方向へ作用する筋肉の働きが重要になります。
後脛骨筋、長母趾屈筋、長趾屈筋、前脛骨筋が回内へ働きます。

 

SAタイプ(Supination adduction)

このタイプは、SERと似ていますが、回旋を伴わない点が異なります。
なので、骨折線は横方向へ走ります。

これも回外方向への受傷なので、回内筋が重要となります。

 

PERタイプ(Pronation external rotation)

上記2つのタイプとは異なり、外側へ捻る動き、回内+回旋で受傷するタイプです。

回外タイプとは反対に、内果→後果→外果の順に受傷します。

このタイプでは、回内方向へ受傷するため、足関節内側の三角靭帯などの靭帯損傷の可能性があります。

このタイプは回内方向への不安定性が起こりやすいので、回外方向へ作用を持つ筋肉の働きが重要となります。
腓骨筋、長母趾伸筋、長趾伸筋が回外へ働きます。

 

PAタイプ(Pronation adduction)

このタイプは回内のみで回旋を伴わないタイプです。

回旋ストレスは加わらないので、骨折線は横方向へ走ります。

これも回外方向への筋肉が重要となります。

 

足関節骨折における理学療法の進め方

足関節骨折における理学療法のポイントは以下の2つです。

・炎症をなるべく早く治める
・骨癒合を阻害しない

順に解説します。

 

炎症をなるべく早く治める

血流が悪く、足部に停滞してしまうと中々腫れが引きません。

ただでさえ、体の末端なので血流が滞りやすい部位なのに、それに加えて骨折や手術による炎症反応があるので、ほっておいても中々炎症が治まらないのです。

炎症が長引くと、筋肉や腱、靭帯、脂肪体などが互いに癒着してしまい、組織間の滑走性が低下します。
それによって、足関節や足趾の可動性、筋出力が低下してしまい、痛みや跛行が残ってしまいかねません。

そのためにも、なるべく早く炎症を治めることがポイントになるのです。

炎症を早く治めるためのポイントは以下の通り。

・血管が通る部分に制限を作らない
→屈筋支帯の下には後脛骨筋、長母趾屈筋、長趾屈筋の各腱、脛骨神経、後脛骨動脈、後脛骨静脈が通っているため、各組織間の癒着や回外制限があると血流が悪くなる可能性がある
→伸筋支帯の下には長母趾伸筋、前脛骨筋の各腱、足背動脈が通っているため、底背屈制限があると血流が悪くなる可能性がある

・足部から心臓までの経路で滞りがないか
→膝窩、鼠径部、みぞおちの周囲組織に制限がないか

・アウターマッスル、インナーマッスルどちらも過緊張がない
→足内在筋が機能不全を起こすと、アウターマッスルは過緊張となりやすいため、内在筋の機能低下が起こらないようにする

アイシングも炎症に対しては有効ですが、熱を冷ますだけでは腫れは引かず、血液が心臓まで戻らなければ腫れは引きません。

血管の通り道にある組織の緊張がないことが血液が滞らない条件の1つになります。

 

骨癒合を阻害しない

骨折しているので、手術で固定してあったとしても、完全な骨癒合までは時間がかかります。

そのため、骨折部が離開するようなストレスが加わると、当然痛みが起こります。
手術している場合は、切開部が理解するようなストレスが加わると痛みが起こります。

なので、骨折部や創部が離開しないようにリハビリを進めることが必要です。

例えば、足関節を背屈する場合。
下腿に対して足部が後下方へ動くので、外果、内果骨折では骨折部も遠位へ引かれてしまいます。

足関節底屈の場合。
底屈の場合は足関節の構造から回外方向へ動きやすいです。
そのため、底屈+回外で外果骨折では骨折部が遠位へ引かれてしまいます。

骨や筋、腱の治癒期間を把握した上で筋力exやROMexを進めることが必要になります。
これを無視して筋力exなどを進めると、無用に痛みを起こすだけでなく、慢性痛を作り出してしまう恐れもあるので注意が必要です。

各組織の治癒期間は以下の通り。

・皮膚:2週
・筋:2週
・腱:6週
・骨:6週〜

概ねこのようになっていますので、これを参考にいつ、どこへ、どのようなことをしてはいけないか、しても良いのかを判断しましょう。

 

まとめ

・足関節骨折の分類を理解する
・骨折の受傷起点、受傷方向を理解する
・炎症をなるべく長引かせない
・骨癒合を阻害するストレスを加えない
・骨も含め、各組織の治癒過程を理解する

今回は骨折の分類、骨折の治癒過程におけるポイントを解説しました。

これに加え、筋肉や関節の機能的な部分を細かく評価、アプローチしていくことが求められます。

ただ、まずは前提として骨折をストレスなく治癒させるには?という点を考える必要があるので、そのために必要なことをまとめました。

是非、参考にしてみてください。

 

参考文献

1.日本骨折治療学会

 

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