腰痛は胸椎と腰椎の特徴を捉えるべき

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火曜日ライターの松井です!
圧迫骨折、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症などによる腰痛って担当すること多いと思います。
このような診断名がついていなくても腰痛を訴える方も多いですよね。
ですが、腰部のマッサージやホットパックによる温熱療法でその場は痛みが和らいでも長続きしないこともよくあります。
そんな腰痛の原因の一つとして、胸椎を評価してほしいのです。
目次
胸椎によって腰痛が起こる理由
当たり前ですが、胸椎は腰椎の上にあたる位置にありますが、何故腰椎ではなく胸椎が腰痛を引き起こすのか。
そもそも、最初に挙げた腰部疾患は外傷以外は腰椎への慢性的なストレスが要因の一つです。
その原因の一つとして、胸椎が挙げられます。
そうでもなければ、ある日突然外傷もないのにヘルニアになったりすることは考えにくいことです。
ストレスを与えているのが姿勢なのか特定の動作なのかはその方によって違いますが、何らかのストレスを与える要因が背景にあるということを理解するべきです。
ここを理解していないと、いつまで経っても良くならないのに腰部のマッサージをするということになってしまうのです。
中には難しい症例もおられますが、本当は良くなるのに「これは良くならないものだから仕方がない。」と思わせて過ごすのと、「こんなに良くなったからやりたかったことができる!」と思ってもらえるのでは、どちらがリハビリテーションか一目瞭然ですよね。
我々の仕事は痛みを何とかすることではありません。
その先にある、その方の生活に関わる何かを成し遂げるための一つの手段として「腰痛を改善する」ということがあるのをお忘れなく。
解剖学、運動学的に診る胸椎と腰椎の関係
胸椎と腰椎の特徴を見直してみると、何故胸椎によって腰椎へストレスをかけるのか理解できます。
胸椎と腰椎の解剖学的な特徴
まず、胸椎を上・中・下の3つに分けて考えてみましょう。
・中位胸椎:棘突起の尾側への傾斜が強く、屈伸の可動性は少なく、回旋が大きくなる
・下位頚椎:腰椎に近づくにつれ、椎体は横径が大きくなり、棘突起は水平化していき、腰椎の形状に近づく
下位胸椎にあたる胸腰椎移行部は、上位腰椎の形状に近い形状をしており、これも屈伸の動きが強いです。
対して、中位胸椎にあたる部分は、屈伸より回旋の動きが強くなります。
これは椎間関節の構造的にそうなっており、頚椎や腰椎は椎間関節面が矢状面を向いているため、屈伸の動きは邪魔されず、回旋の動きが邪魔されます。
胸椎は椎間関節面が前額面を向いており、回旋の動きは邪魔されず、屈伸の動きが邪魔されます。
中位胸椎が最もその傾向が強いということになります。
まとめると、以下のようになります。
・腰椎→屈伸に特化した形状
胸椎と腰椎の運動学的な特徴
以下の表を見ると一目瞭然です。
それぞれの可動性を表したものです。
この通り、胸椎は回旋、腰椎は屈伸の可動性に富んだ運動構造をしていることが分かります。
もし、胸椎の回旋可動性が制限されていたらどうなるでしょうか。
どこかで代償して補う必要があるため、それを腰椎で代償して回旋可動性を補うと、本来回旋可動性に乏しい構造なので、周囲の靭帯や筋肉へのストレスとなった結果、腰痛を起こしてしまうということなのです。
胸椎の回旋可動域を引き出す運動療法
ということで、腰痛の方には胸椎の可動性が制限されていないかどうかを評価してみてください。
明らかな可動域制限が認められる場合、胸椎の可動性を引き出し、腰椎とその周囲組織へのストレスを取り除かないと腰痛は改善しにくいです。
その際に私自身もよく指導する運動療法の例をご紹介します。
胸椎への運動療法(側臥位)
1.側臥位となる
2.片手で上側の下部胸郭を前上方へ誘導する
3.誘導したまま吸気する
4.吸気して呼気するタイミングで誘導していた手を放し、同時に胸椎を回旋する
5.回旋した位置で2~4を繰り返す
<ポイント>
・鼻から呼吸する
・腰椎の代償を防ぐため、下側下肢は伸展位、上側下肢は屈曲位とする
・可能なら上側上肢は頭部へ手を持ってくる
まとめ
・中位胸椎の椎間関節面は前額面を向いている
・胸椎は回旋、腰椎は屈伸に特化した構造になっている
・胸椎の回旋可動域を代償して腰椎に負担となっている場合がある
マッサージして、いつまで経っても良くならない場合、診る視点を変える必要があります。
そうやって視点を増やしていくと、今まで難渋したような症例の方に対しても活路を見出すことができます。
今回はほんの一例なので、また参考までに試してみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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