2017/01/11
筋膜とは?理学療法士が解説する正しい筋膜の知識

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最近テレビでも話題の筋膜ですが、筋膜ってそもそも何なの?リハビリではどう活かしたらいいの?って思っておられる方も多いと思います。
筋膜の基本的な知識を解説してリハビリ職種の方はもちろん一般の方にも正しい知識を理解していただければと思います。
目次
筋膜とは
筋膜(myo fasia)とは全身に広がる繊維性結合組織で皮膚の下にあり筋肉や内臓、骨や血管、神経など身体全体を包んでいる膜のことを言います。
文字通り筋肉を包んでいる膜なのですが、筋繊維の1本1本にまで入り込んでいます。筋膜がなく筋繊維のみであればまとまらずにバラバラになってしまいますが、筋膜のおかげで形をとどめておけるのです。
全身の筋肉を包んでいるため「第2の骨格」とも呼ばれています。
この筋膜が歪むと痛みの原因となったり、全身を包んでいるのでリハビリの場面なら歩行やスポーツなど激しい動作のパフォーマンスの低下につながります。
さらには内臓とも膜でつながっているので、内科系の疾患との関連もあると言われています。
筋膜の解剖
実際にどういった構造となっているのかというと
皮膚
↓
脂肪
↓
浅筋膜
↓
脂肪
↓
深筋膜
↓
筋外膜
↓
筋周膜
↓
筋内膜
↓
筋束
↓
筋繊維
という順に並んでおり、筋膜といっても存在する場所と働きによって異なった名前がついています。
浅筋膜
皮下組織の脂肪層の中に存在し、あらゆる方向へと動くことが可能です。リンパ管も存在しますのでこの部分の歪みはむくみを引き起こす可能性もあります。
深筋膜
3層構造となっており、各層の間には疎性結合組織とヒアルロン酸が存在しており、体の動きに合わせて深筋膜が自由に動くことができます。
筋外膜との間にもヒアルロン酸が存在していますし、筋肉同士が重なり合う筋肉と筋肉の間にもあるのでお互いに滑り合うのを助けて滑らかにする働きを持っています。
コラーゲン繊維とエラスチン繊維
筋膜はコラーゲン(膠原)繊維とエラスチン(弾性)繊維から構成されています。
コラーゲン繊維のおかげで外部から力が加えられても力を受け入れて形を変えることができます。また、形を変えられるだけではなく、引っ張られたときにはその力に耐えることができる強さもあります。
エラスチン繊維はゴムのように伸び縮みが可能で、引っ張られていた力がなくなるとその力で伸ばされていた筋膜はゴムが元の長さに戻るように形を元に戻す働きがあります。
筋膜の役割
主な役割を列挙すると以下のものが挙げられます。
・筋肉及び身体の形成・維持(身体のフレームワーク)
・保護・強化(力の発揮と運動性)
・皮膚と筋肉の仕切板
・血管やリンパ管、神経⇆筋肉との行き来の補助
・結合組織の産生(ex かさぶたなど)
一つ一つ解説してみます。
筋肉及び身体の形成・維持(身体のフレームワーク)
先ほど述べましたように、筋繊維の束を筋膜によってまとめてそれがいくつにも重なって筋肉の塊となっています。
それによって全身を形成されていますので、筋肉を形成するとともに身体全体を形作っていますしその形を維持しています。
ですので、長時間のデスクワークや立ち仕事など不良姿勢をとると筋膜が局所的に歪んでしまうのはイメージできると思います。
保護・強化(力の発揮と運動性)
筋膜によって筋肉は覆われているため侵害刺激などからの保護的な役割も備えています。
さらに、何度も言いますが筋膜は全身を覆っているため膜によって筋肉の収縮が全身に波及して伝わります。
上肢から体幹、体幹から下肢へ、また下肢から体幹へ、そして上肢へというように筋膜が全身運動に関与していますのでどこかでこの波及が滞ると運動のパフォーマンスも低下してしまうのです。
皮膚と筋肉の仕切板
これも先に説明しましたように皮膚と筋肉の間には何層もの筋膜が存在していましたね。
この膜同士は互いに滑り合う関係にあります。
正常な筋膜はサラサラとしているので、筋膜同士も皮膚とも筋肉とも滑りあって筋収縮の邪魔をしない状態にあります。
しかし、長時間の不良姿勢や外傷などで筋膜が歪んで動きが悪くなると互いに滑りにくくなります。
滑りが悪い状態で運動を行おうとすると、通常筋膜同士や皮膚、筋肉との滑りがスムーズなときは30%の力で十分なのに、滑りが悪いと余計に力を発揮して動かそうとするので50%の力が必要になったりします。
こういった状態が長年続くと常に力を余分に発揮しているので慢性的な腰痛や肩こりの原因にもなり得るのです。
血管やリンパ管、神経⇆筋肉との行き来の補助
筋膜は血管やリンパ管などの通り道となっており、様々な刺激を感知する感覚器官が多数存在しています。
つまり、筋膜が硬くなり動きが悪くなるとそこを貫通している血管やリンパ管、神経を圧迫して血流を阻害したりすることにつながりますので、組織が酸欠を起こして発痛物質が発生、停滞しその刺激を感覚器官が感知して痛みにつながることも考えられます。
結合組織の産生
通常怪我をして治癒していく過程では血液中のタンパク質、コラーゲンなどを集めて傷を塞ぎます。これはかさぶたを作ることと同じことです。
筋膜には血管など豊富にありますので傷を修復するために、筋膜を通る血管からタンパク質や白血球が滲み出て組織を塞ぐ結合組織となるわけです。
筋膜への悪影響
不良姿勢や偏った動作を続けているとそれが次第に負担となり、姿勢が崩れてきて筋膜も自由度を失ってきます。
こういったことが何度も繰り返されるうちに筋膜が歪んでしまい、筋外膜のコラーゲンとエラスチンが一部分に偏ってしまい、コラーゲンとエラスチンを包んでいる水のようなもの(基質)がゼラチン状に粘り気がでて、コラーゲンとエラスチンが自由に動けなくなります。
筋膜に機能不全が起きると、それを他の部位で代償します。つまり、深筋膜を介して全身のいたるところに筋膜の機能不全が波及してしまうのです。
筋に機能不全が起きると筋膜は自らほぐれることはできないので、正しい姿勢の保持や動作が制限されてしまいます。
その結果、関節痛、筋出力の低下、柔軟性の低下、パフォーマンスの低下、日常生活動作の制限となってしまう場合もあるのです。
おわりに
以上が筋膜の基本的なところの解説となります。この知識を活かしてどうやってリハビリの現場で使えばよいのかなどを後々また書いていこうと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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