2017/09/15
アナトミートレインの構造を捉える!スーパーフィシャルフロントライン(SFL)
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本日はスーパーフィシャルフロントライン(以下、SFL)についてご紹介しようと思います。
目次
SFLの連結
SFLの筋膜の繋がりとしては以下のようになります。
短趾伸筋/長趾伸筋/前脛骨筋
↓
大腿四頭筋
↓
腹直筋
↓
胸骨筋/胸骨軟骨筋膜
↓
胸鎖乳突筋
↓
頭皮筋膜
上記のように足趾から頭頂までの身体前面の浅い部分を通るラインです。
SFLの特徴
SFLの特徴としては以下のようなものが挙げられます。
・足背から頭蓋側面にかけて身体前面全体を走行するライン
・速筋繊維が多い
・足趾から骨盤までと骨盤から頭部までの二つの部分からなる
・身体の全面を飾る繊細な部分(咽頭、乳房、腹部、鼠蹊部、陰部)を防御し、腹腔の内臓を保護している
一つ一つ特徴を詳しくみていきましょう。
足背から頭蓋側面にかけて身体前面全体を走行するライン
SFLの連結の走行をみてわかると思いますが、足趾から頭部までの身体前面のラインをつないでいます。
前面全体を走行しているため、後面全体を走行しているSBL(スーパーフィシャルバックライン)との関係が深いです。
ここで重要であるのが、SFLとSBLの関係を表したA-Pバランスというものです。
筋・筋膜を主動作筋、拮抗筋の関係でみると、片方が短縮している場合、もう片方は伸長されるという関係性があります。
これはSFLとSBLにおいても当てはまり、多くは前面のSFLが短縮固定してしまい、後面のSBLが伸長固定されてしまっているケースが認められます。
円背姿勢が典型的な例ですね。
つまり、SFL上に問題があると仮説を立てたら、SBLとの関係性も踏まえて考える必要があるということです。
SFLの問題はSBLの問題の結果として起きているかもしれませんからね。
速筋繊維が多い
速筋繊維が多いですので、収縮性に優れており、素早く力強い筋収縮を発揮できるという反面、持久性には乏しいという特徴があります。
また、SFLとしては反射的な機能も有しており、驚愕反応との関連もあると言われております。
フェルデンクライスは「負の感情は全て屈曲として現れる」と述べており、急にはっ!とするような出来事や過去のトラウマからくるびくっ!とするような出来事に反応してSFL上が緊張して短縮します。
つまり、機能的に素早く、力強い大きな動きを実現できる一面と驚愕反応など反射的な機能にも関連するという二つの特徴があります。
足趾から骨盤までと骨盤から頭部までの二つの部分からなる
SBLの場合でもありましたが、SFLの場合でも直接的な連結ではなく、機能的な連結であるということが認められます。
大腿四頭筋から腹直筋へ連結していると表記しましたが、寛骨を介しての機械的な連結であるということです。
解剖の図を見てもらえばわかると思いますが、大腿直筋は下前腸骨棘、腹直筋は恥骨結合に付着しますので直接的な連結はないのです。
直立姿勢や仰向けなど、体幹→骨盤→下肢が一直線上にある場合は、寛骨を介して直線的に機能するラインとして考えます。
体幹前屈位や股関節屈曲位など、体幹→骨盤→下肢が一直線上にない場合は、足趾から骨盤、骨盤から頭部というように分けて考えます。
ポイントは骨盤と股関節の位置関係ですね。
身体の前面を飾る繊細な部分(咽頭、乳房、腹部、鼠蹊部、陰部)を防御し、腹腔の内臓を保護している
人は身体の前面に重要な器官を配置している構造になっています。
SFLはこの重要な器官たちを保護するという重要な役割を有しているのです。
先ほどの驚愕反応は本能的にこの器官たちを守るためのものとも言えるかもしれませんね。
SFLをリリースするストレッチ
簡単にSFLをリリースするストレッチをご紹介します。
①.うつ伏せで肘を立てた姿勢となります。(パピーポジションと呼ばれる肢位)
②.その姿勢から腰から胸部を軽く反らして腹部から胸部前面が伸びるようにします。
③.腰から下の下肢前面もつま先方向に伸びるように、視線は上方のほうへやり、頸部の前面も伸びるよ
にします。
④.そのままの姿勢で30秒ほど保持。数回繰り返します。
ポイントとしては、
・腰を反りすぎると腰を痛める可能性もあるので、あくまで軽く気持ちのいい程度(腹部を床につけることを
意識)
・パピーポジションをとっている際、肩をすくめたようにならないように軽く脇をしめておく
上記のポイントを踏まえたうえで実践してみてください。
おわりに
主に屈曲、伸展など身体の矢状面の問題を見る際はSFLも一緒に問題がないかみておくことをおすすめします。
SFLとSBLのバランスが崩れてしまっている方は思った以上に多く、ここを整えてあげると「歩きやすくなった」、「呼吸が深くできる」などの言葉を多く聞きます。
ぜひ試してみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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