2017/09/09
腱鞘炎を解消するための二つのポイント

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長時間の手を使った作業の後など、手首が重だるかったり、痛かったりしませんか?
それらの多くは、いわゆる「腱鞘炎」と呼ばれるものです。
手を酷使する職人さんや医療・介護の現場で働く方、デスクワークなど事務作業が多い方に発症する場合が多い印象です。
手を使う仕事だし仕方がない…とあきらめていませんか?
体の使い方を変えることで十分に改善は可能です!
今日からでもできる簡単な運動をご紹介しますので、ぜひお試しください。
目次
腱鞘炎ってどういう状態?
手首が痛いから腱鞘炎だろうと思ってはいるけど、そもそも腱鞘炎ってどういった状態なのか考えてみましょう。
腱鞘炎で炎症が起こるのは、主に手首の部分の腱と腱鞘と呼ばれるものの間が何度もこすれることで発症します。
腱鞘は腱をトンネルのように覆っていて、指を曲げ伸ばしする際に腱が骨からずれてしまわないようにおさえる役割があります。
普段は、このトンネルの中をスムーズに腱が行ったり来たりしていますが、なんらかの原因でトンネルをうまく腱が通過できずに引っかかったりすることがあります。
その状態で何度も繰り返してトンネルの中を腱が動くと、こすれて摩擦が起き、炎症が起きます。
ようは、使いすぎているために発症してしまうのです。
症状や原因は以下の通りです。
腱鞘炎 | |
よく発症する部位 |
手の甲側の親指の付け根 手のひら側の親指、中指、薬指の付け根 どちらも利き手に多い |
症状 |
手首や指の動かしにくさ、重だるさ 初期症状としては、痛みの自覚はなく、そのまま放置した結果、痛みにつながるケースが多い |
原因 |
手・指の使いすぎ ゴルフ、テニスなど手・指に力の加わるスポーツ |
性別 |
女性に多い 更年期や妊娠、出産による女性ホルモンのバランスが乱れた結果、手・指にむくみを生じる |
この表を見ると、やはり使いすぎが主な原因となる場合が多いです。
特に女性では、料理・洗濯などの家事や出産してお子さんができるとずっと抱っこしていなくてはならなかったり、手を使う機会が増えますが中々休むわけにもいかないというのがあると思います。
ばね指とドケルバン病
腱鞘炎の中にも主に発症しやすい二つの症状があります。
この二つは発症する部位が違います。
ばね指
これは、主に指を曲げる時の腱に炎症が起きて発症します。
これも繰り返し使いすぎることで負担がかかった結果、炎症という症状が起きています。
炎症症状に伴って、手のひら側の指の付け根の部分に「滑液」というものが多量に分泌され、それが固まって表面から触ると出っ張りのようなものを作ります。
指を曲げ伸ばしする際に、この出っ張りと腱が引っかかり動かしにくかったり、症状が悪化すると指を真っ直ぐ伸ばす、曲げるといったことができないこともあります。
特徴的なのが、伸ばす際に出っ張りと腱が引っかかるため、引っかかった状態から急に腱が解放されると指がはじかれるような所見が見られることがあります。
このはじかれるような所見が見られることから「ばね指」と呼ばれています。
主に親指、中指、薬指に多く発症しやすいです。
簡易的な判別方法としては、下の写真の青丸部分に出っ張りができやすいため、その部分をなぞってみてください。
この出っ張りが触れる、指の動かしにくさなどの症状がある場合は、ばね指の可能性があります。
ドケルバン病
これは、ばね指とは反対に指を伸ばす腱に炎症が起きて発症します。
これも使いすぎが主な原因です。
下の写真の青く塗りつぶしてある筋肉のうち、親指側から「長母指外転筋」、「短母指伸筋」と呼ばれ、この二つの腱と青丸部分にある腱鞘とが炎症を起こし、症状が現れます。
親指を反らした際に浮き出てくる二つの腱がそれですね。
症状としては、親指の付け根や親指側の手首の痛み、動かしにくさ、親指の曲げ伸ばしがしにくいなどの症状を訴えます。
親指側手首の骨が出っ張った部分に腫れや押すと痛いなどの症状が出ることもあります。
判別方法としては、写真のように親指を握りこみ、小指側に手首を曲げた時に痛みが出現すると「ドケルバン病」の可能性が高くなります。
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腱鞘炎となる原因は?
原因としては、何度も繰り返し負担がかかることで炎症が起きるので、動かしにくさや痛みといった症状として出現しています。
ですので、手首や指に負担がかからないような体の使い方をする必要があるのです。
負担がかからない体の使い方のポイントとしては、主に二つあります。
インナーマッスルとアウターマッスル
筋肉には体の深い部分にある「インナーマッスル」と浅い部分にある「アウターマッスル」があります。
インナーマッスルが関節の安定性を担い、アウターマッスルが関節の動きを担うという関係性があります。
腱鞘炎で炎症が起きる場合というのは、インナーマッスルがうまく働いておらず、アウターマッスルで関節の安定と動きの両方を補っている状態が考えられます。
本来は二種類の筋肉で役割分担しているのに、それが一つの筋肉だけで補うとなるととても負担がかかるのです。
つまり、インナーマッスルとアウターマッスルのバランスを考える必要があります。
他の関節との関係
関節というのは、近くにある他の関節も関係ないわけではなく、それぞれ関与し合っています。
例えば、手首の関節で考えると、パソコンなどデスクワークをしている場合。
この場合、指や手首はキーボードを打つために動きを伴いますよね?
動くためにはどこに安定している部分、動くための土台となる部分が必要になります。
それが、肘や肩の関節なのです。
肩や肘で安定を作れないと、手首にぐっと力を入れて安定性を高めたまま、指や手首を動かす必要があるのでとても負担がかかります。
試しに、手首に力を入れたまま指を動かしてみてください。
かなり難しいと思います。笑
安定といっても肩をすくめてガチガチに力を入れた状態が良いわけではありません。
手首の動きに合わせて微妙に力の入れ具合を変えたり、微調整したりする能力も必要なのです。
手首に負担をかけない体の使い方とは?
つまり、上述したような二つの関係性を考えて動けるようになったらいいわけです!
この二つの条件を満たすためには、「姿勢」が大きく関係します。

引用:写真AC
例えば、デスクワークでパソコンに向かっている時って写真のように猫背で頭が前に出ているような姿勢になっていませんか?
この姿勢では、自然に肩をすくめるような格好となり、肩に余計な力が入りやすいために手首の動きに合わせて肩でバランスをとることができません。
ということは、上述したように安定性を作るための土台の役割も動きの役割も全て手首や指周りの筋肉で頑張る必要があります。
いつもいつも、こんな状態で頑張ってしまうと同じ場所ばかりに負担がかかってしまう結果、「腱鞘炎」という症状につながるのです。
猫背になっていないとしても、見えない部分で肩や肘の筋肉がうまく使えていないので手首にかかる負担を強くしていることもやはりあります。
腱鞘炎を改善するための運動
姿勢を見直し、腱鞘炎を改善するための簡単な運動をご紹介しますので、ぜひやってみてください!
背骨の柔軟性を作る運動
手首へかかる負担を減らすには、肩や肘の動きが大切!と言いましたが、肩がうまく動くためにはより体の中心に近い体幹(背骨)が自由に動くことが重要です。
①.座った状態でみぞおちを触る
②.触ったまま、体を左右へ捻る
③.上下に伸び縮みする
④.左右へ倒す
⑤.各方向へ10回ずつ程度行う
肩周りの動きをよくする運動
背骨を動かしたら今度は肩周りを自由に動かせるようにしていきます。
①.脇の付け根辺りを指で挟むようにしてつまむ
②.つまんだまま、肩を前後へ回す
③.各方向へ5〜10回ずつ程度行う
肘の動きをよくする運動
肩の次は肘の動きをよくしていきます。
①.肘の後ろ(少しくぼんだ部分)を押さえる
②.押さえたまま肘を曲げ伸ばしする
③.10回程度行う
手首・指の動きをよくする運動
背骨、肩、肘ときたら、手首・指の動きもよくしていきます。
手首・指と他の部分の関係も重要ですが、症状が起きている部分自体を柔らかく動かせるようにすることもとても大事です。
①.中指の付け根を押さえる
②.押さえたまま指をグーパーする
③.10回程度行う
まとめ
・腱鞘炎とは、「腱」と腱を覆うトンネル状の「腱鞘」がこすれて炎症を起こした状態
・主に、「ばね指」と「ドケルバン病」がある
・過剰に負担がかかった結果、炎症として症状が出現する
・肩や肘の動きが悪いと手首にかかる負担は大きくなる
・姿勢を見直す必要がある
おわりに
いかがでしたか?
手首や指が痛いからといって生活する中で安静にするというのは中々難しいものです。
安静にすることも必要ではありますが、今回ご紹介させていただいたのは、まず自分の体の使い方、姿勢を考えましょうというものでした。
簡単な運動ですが、毎日コツコツ続けることで効果が実感できると思いますよ!
最後までお読みいただきありがとうございました!
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